現代社会に蔓延る様々な社会問題の大半は、社会科学の古典にすでに指摘されていることで、その知恵は時代が違えど役に立つことばかりという話でした。
我々は歴史(古典)から何も学んでいないということが分かる内容。
かなりショックな話ですが、特に「リーダー」の役割を担っている人は、今からでも参考にすべきだと思います。
この本で取り上げている社会科学の古典は以下の通り。
- マックス・ウェーバー「官僚制的支配の本質、諸前提および展開」
- エドマンド・バーク『フランス革命の省察』
- アレクシス・ド・トクヴィル『アメリカの民主政治』
- カール・ポランニー『大転換』
- エミール・デュルケーム『自殺論』
- E・H・カー『危機の二十年』
- ニコロ・マキアヴェッリ『ディスコルシ』
- J・M・ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』
参考になった部分を抜粋して以下に列挙します。
- 組織というものは、効率性と合理性を徹底的に追求すると、かえって非効率で非合理なものとなってしまうということが、往々にしてある。
- そもそも業績評価とは、測定する業績がどういうものかがあらかじめ確立していないと、その基準を策定できません。しかし、本当のイノベーションとは、既存のものとはまったく違う新しい業績を成し遂げるでしょう。
- 優れた研究者たちの「主観」によって判断した方が、論文数やインパクトファクターなどの数値による「客観」的な判断よりも、より正確に研究者の能力を評価できるということです。
- ラディカルな改革が失敗する理由は、一言で言えば、「社会も人間も複雑微妙だから」ということに尽きます。
- むしろ、正しいことを知っている優れた人物というのは、たいてい数が少ない。ところが、民主政治では、多数派の意見の方が正しいことになっています。
- 日本社会に見られる同調圧力もまた、日本の文化的特殊性ゆえではなく、民主政治のせいである可能性が高いでしょう。日本が、アメリカの民主政治を見習うほどに、社会の同調圧力は高まり、自由が損なわれていくというわけです。
- 中間団体が機能していれば、自由と民主政治が両立する「自由民主主義」は可能となるということです。
- 新自由主義がはらむ最大の問題とは(略)、全体主義を呼び込んでしまうという点にあるのです。
- 宗教や家族といった共同体との固い絆、悪く言えば「しがらみ」から解放された個人主義者は、自殺に向かいやすいということになります。
最近の日本の大学では、社会科学が軽視されているのかなぁ?本書で扱っているような基礎知識を持っていない「知識人」が多すぎるような気がします。
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