江戸時代に創業したとある焼き鳥屋の話。
その焼き鳥屋は、創業以来のタレが売りで、店主が代々口承で次の店主(弟子)へと「その味」を伝えていました。
秘伝のタレというのは、本当に繊細なもので、温度や湿度、醤油の出来など様々な要素で変化します。
店主の最も大事な仕事というのは、その変化する条件の中で、秘伝のタレを日々調整することだったのです。
この店は、最初に創業した店主から、何人もの弟子を育て、暖簾分けをしていました。
もし、ある店でタレが紛失するような災害等が起こっても、兄弟弟子がいればタレを分け合う事によって店を再建するすことが出来るからです。
こうやって、この焼き鳥屋は、着実な経営を続け各地で商いを営んでいました。
そうした中、ある店主が思いたちました。
「今、つかっているこの醤油がなくなったら、大変なことだなぁ。うちの兄弟弟子が一丸となってでも、この醤油屋さんを守っていかないといけないな。」
そこで醤油屋に相談をしてみると、実は最近、このタレの原料となる国産大豆が手に入りにくくなってきているとのこと。
この蒲焼屋向けに出している醤油は、100%日本産の大豆をしようしていて、特定の農家を契約を結んでいるのだが、農家の高齢化が進み、廃業をする農家さんが増えてきていて、数年以内に国産の大豆が手に入らなくなるかも知れないということが分かりました。
そこで焼き鳥屋の店主(兄弟弟子)たちは、自らで大豆を作ろうと決心したのでした。
この国産大豆を使用した醤油をつかっていて、この醤油しか駄目という料理屋は、他にもたくさんあります。
それらの店舗にも連絡を取り、国産大豆の農業事業への出資をお願いして回りました。
その甲斐あって、国産大豆の生産も安定し、大切な醤油も存続することが出来、自らの商いも継続することができました。
伝統を守るということは、古いことをただ続けるということではありません。
今やっていることの原理や道理を遡り、その成り立ちを理解していくこと。
そして、最新のノウハウや技術で、引き継いでいくことなんです。
こう考えると、伝統というのは、最先端の状態を進化し続けた結果ということですね。
今回は「伝統」ということを考えるために、架空の焼き鳥屋の秘伝のタレの話を創作してみました。
今回の珍言爆言
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今いる所の成り立ちを深く知ることこそが伝統
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