社会のリベラル化が進み、誰もが「自分らしく」生きるようになると、自由を手にすると同時に、自分の人生のすべてに責任を負うことになる。
知識や、財力を幸い持てた一部の人だけが生き残り、「普通」に生きていたら一気に「下級国民」に転落していく社会。
そんな社会を攻略する為に残された生存戦略というのが、何かを「ハック(乗っ取る)」することで新しい人間(ニュータイプ)に進化することだ、というかなり残酷な現実社会の仕組み(ディストピア)が書かれています。
そう考えると、「自由」という果実は、地獄への片道切符だったのかも?と思えてくるように思えてきて、脱力感に溢れた読後感でした。
気になった文章を以下に引用させて頂きます。
- 社会のリベラル化が進み、誰もが「自分らしく」生きるようになれば、教会や町内会のような中間共同体は解体し、一人ひとりがばらばらになっていく。これによってわたしたちは法外な自由を手にしたが、それは同時に、自分の人生のすべてに責任を負うことでもある。
- アメリカ軍(GHQ)による占領=民主改革によって、戦前の身分制的な社会制度が破壊された「恩恵」だった。これは日本だけでなく、歴史上、社会が平等になるのは戦争、革命、(統治の)崩壊、疫病によってそれまでの社会構造が解体され、権力者や富裕層が富を失ったときだけだ。
- アノマリーというのは、要するに「人間の愚かさ」のことだ。
- マズローによれば、(中略)人生の目的は、「完全なる人間」に向けていまの自分を超えていくことだ。
- 自己啓発は、アメリカ流の成功哲学に、洗脳や化学兵器などの軍事技術開発とドラッグやニューエイジなど60年代のカウンターカルチャーを接ぎ木して、大輪の花を咲かせたのだ。
- 近代というのは、わたしたちが息苦しい共同体(コミュニティ)を捨てて、モノやサービスを貨幣と交換するドライな関係(市場経済と資本主義)を望んだからこそ生まれたのだ。
- 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、現実世界とヴァーチャル世界の融合、すなわち「富から評判へ」という巨大パラダイム転換がさらに加速したことだ。
- (日本の未来を担う)子どもや若者たちは、「正直者が馬鹿をみる」という現実を思い知らされたはずだ。そんな社会で生き延びていくには、唯々諾々と常識(お上の要請)に従うのではなく、自分に有利なルールでゲームをプレイしなければならないし、そうでなければあっという間に「下級国民」に落ちてしまう。このようにして、「ハック」はさらに広まっていくだろう。
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