「菜根譚」は、中華明の時代に洪自誠によって書かれた処世訓です。
この「菜根譚」は、書かれた本場の中国よりも日本人の心に響くものがあるようです。
どっちでも取れる内容というか、中庸の精神という内容なのですが、読む時々の精神状態で感じること、見えることが変わってくるのが良いのだと思います。
以下、私が気に入った箇所を抜粋させて頂きます。(原文は漢文ですので、守屋洋氏の口語訳の部分です。)
「自分の心に勝つ」
まず、自分の心に打ち勝とう。
そうすれば、あらゆる煩悩を退散させることができる。
まず、自分の気持を平静にしよう。
そうすれば、あらゆる誘惑から身を守ることができる。
「幸せと不幸」
何が幸せかといって、平穏無事より幸せなことはなく、何が不幸かといって、欲求過多より不幸なことはない。
しかし、あくせく苦労してこそ、初めて平穏無事な幸せなことがわかり、心を落ち着けてこそ、初めて欲求過多の不幸なことが理解できるのである。
「幸せをもたらすには」
せっかちで落ち着きがないのは燃えさかる炎のようなもの、周りの者を焼きつくしてしまう。
恩情のないのは冷たい氷のようなもの、みんなの心を冷えびえとさせる。
頑固で融通のきかないのは溜り水や朽木のようなもの、生き生きした活力を失っている。
こんな人たちはみな、成功も幸せもかちとることができない。
「祖先の苦労」
祖先の恩沢とは何か。
現在、自分の享受している幸せがそれである。
それを残してくれた祖先の苦労に感謝しなければならない。
子孫の幸福とは何か。
それは、現在、自分が積み重ねている努力によってもたらされるものだ。
崩れるのも早いので、しっかりと積み重ねておかなければならない。
「ムダに過ごすことへの恐れ」
天地は永遠であるが、人生は二度ともどらない。
人の寿命はせいぜい百年、あっというまに過ぎ去ってしまう。
幸いこの世に生まれたからには、楽しく生きたいと願うばかりでなく、ムダに過ごすことへの恐れを持たなければならない。
「してはならないこと三つ」
自分の心を見失うな。
他人をしいたげるな。
物を酷使するな。
この三つのことを実行すれば、天地の心にかない、人々の生活を守り、子孫に幸福をもたらすことができる。
「ふだんの修養」
忙しいときに、あわてふためきたくないと思うなら、暇なときに、しっかりと精神を鍛えておかなければならない。
死ぬ間ぎわになって、とり乱したくないと思うなら、ふだんから、しっかりと物事の通りを見きわめておかなければならない。
「ねばりつよく、機を待つ」
縄でも、長いあいだこすり続ければ木を断ち切るし、水滴も、時間をかければ石を穿つ。
道を学ぼうとする者も、このようなたゆまぬ努力を心がけなければならない。
水が流れればおのずと溝ができ、瓜の実が熟せば自然にへたが落ちる。
道を求めようとする者も、このように、じっくりと機の熟すのを待つべきである。
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