「やったことよりやらなかったこと」を後悔するとわかっていても、行動することができず、後悔したことは誰にでもあるのではないでしょうか?
心理学の見地から見ると、人間はどうやら「何もしないこと」を選択しやすく、故に「後悔」しやすい動物のようです。
さて、今回は、その「後悔」についての話です。
早速ですが、次の2つの話を読んで、どちらがより辛いと感じるか考えてみてください。
(ある話その1)
太郎さんは100万円分の「金」を所持していました。
ある日、親友から「金はもうすぐ値下がりするから今のうちに売ってしまって、株を買うほうがいい」と勧められましたが太郎さんは売らずにそのまま「金」を持ち続けました。
そして1年経った頃、親友の言った通り、「金」の価格は30%も値下がりし、太郎さんの「金」は70万円分の価値になってしまいました。
(ある話その2)
花子さんは、ある会社の時価100万円分の株を持っていました。
太郎さんが親友から勧められた時と全く同じ時期に、同僚から「その会社の株はもうすぐ下落するので今のうちに売ってしまって「金」を買うほうがいいよ」と勧められたので、花子さんはすぐにその通りにしました。
そして1年が経ったころ、「金」の価格は30%も下落し、花子さんの「金」も70万円分の価値になってしまいました。
さて、太郎さんと花子さんでは、どちらの方が心の中でより後悔していると思いますか?
太郎さんも花子さんも100万円の「金」が、1年後に70万円になってしまったという点では共通しています。
しかし、決定的な違いは、太郎さんは行動を起こさなかったことに対して、花子さんは行動を起こしたにも関わらず失敗してしまった点です。
しかも他人のアドバイスがきっかけで行動をしてしまった点が悔やまれます。
この場合、行動を起こして失敗した花子さんの方が辛いと感じると思ったのではないでしょうか?
普通の人間はリスクを意識してしまうと、花子さんのように何か行動を起こすより、何もしない太郎さんの方を選択する傾向にあると言われています。
これは、何もしないこと(行動しないこと)で後悔の感情をできるだけ避けようとする心理が働くからです。
投資をすると、自分なりに勉強して行動を起こしても損をすることがあります。
そういう時に、人は自分の責任にすることを嫌がり、誰かの発言やアドバイスに従って、できるだけ後悔や損することを避けようとするものです。
こういう一連の心理を「後悔の嫌悪」と言われています。
「後悔の嫌悪」とは
- 人は後悔することを避けようとすると、行動することよりも行動しないことを選ぶ。
- 人はいつも同じ行動をとりたがる。(現状維持を好む)
- 損をすると自分の責任にはしたくないという心理が働く 何か行動を起こして変化しないと現状を打破できないと頭では理解していても、「体がついてこない」と感じたことのある人は少なからずいると思います。
それでは後悔しないためには、太郎さんみたいに「何もしないこと」が最善なのでしょうか?
実は、何もしないことも、ベストな選択とは限りません。
大事な事は、行動したことが、例え裏目に出ても、反省はしつつ後悔しないように心がけることです。
また、「何もしない」や「後で決めよう」と判断すること自体が、意思決定である事を認識する必要があります。
株式投資でも、保有した株が下がったら「塩漬け」と称して、損切りをせずに放置する人がいます。
しかし、「塩漬け」という行動も、自分が決めたことであり、その後の損失については、自分の責任であることを認識しましょう。
これまで見てきたように、何かを選択して、しかも行動をするということは、非常に勇気がいることです。
しかし、誰かの発言やアドバイスに従って行動しても、結果的に損をすると余計に後悔するものです。
投資のみならず、人生は数多くの選択の結果から「現状」を作っているものです。
最終的には自分が責任を持って行動するしかない、ということですね。
H・ジャクソン・ブラウン・ジュニア氏の名言にこうあります。
今から20年後、やったことよりもやらなかったことをがっかりするだろう。
だから綱をほどいて、安全な港から出航しよう。
自分自身の帆に貿易風をつかまえて航海しよう。
探検しよう。夢をみよう。発見しよう。
H・ジャクソン・ブラウン・ジュニア 「P.S. I love you」より
さて、これからあなたは、どういう選択をしていきますか?
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